2025.07.29更新
知られざる歯周病と糖尿病の深い関係!放置が招く悪循環
こんにちは。東京都世田谷区経堂にある、きたむら歯科経堂です。
お口の病気である歯周病と全身疾患である糖尿病は一見無関係に見えるでしょう。
しかし、この2つの疾患はどちらか一方の管理が不十分だと、もう一方も悪化するという悪循環が起こりやすく、深く影響し合う相互関係にあります。
この記事では、歯周病と糖尿病の基礎知識から、この2つの疾患の関係、治療や予防のポイントまでわかりやすく解説します。お口だけでなく、全身の健康も維持できるよう参考にしてください。
歯周病とは
歯周病とは、歯を支える歯茎や骨などの歯周組織に炎症が生じる病気です。初期段階では自覚症状が少ないため気づきにくく、症状が現れたときにはすでに進行していることも珍しくありません。ここでは、歯周病の原因や進行段階、症状について解説します。
歯周病の主な原因
歯周病の主な原因は、口腔内の細菌が増殖して形成されるプラーク(歯垢)です。
プラークは歯の表面に付着した細菌の塊で、この中に歯周病菌が潜んでいます。プラークが歯周ポケット(歯と歯茎の境目にある溝)にたまり、歯周病菌が毒素を出すことで、歯茎に炎症が起こります。
さらに、プラークが唾液などの成分と結合して歯石になると、歯ブラシでは除去が難しくなります。歯石の表面はザラザラしているため、さらにプラークが付着しやすくなり、歯周病の進行を加速させます。
歯周病の進行段階と症状
歯周病は、その進行度合いによっていくつかの段階に分けられます。
歯肉炎
歯周病の初期段階が歯肉炎です。この段階では、歯茎が赤く腫れたり、歯磨きの際に出血したりするなどの症状が見られます。
しかし、痛みを感じることは少なく、自覚症状が軽いため、放置されがちです。この段階であれば、適切な歯磨きや歯科医院でのクリーニングによって改善が見込めます。
軽度歯周炎
歯肉炎が進行すると、軽度歯周炎へと移行します。
この段階では、歯周ポケットが深くなり始め、歯を支える骨(歯槽骨)の吸収がわずかに始まります。歯茎の腫れや出血に加え、口臭が現れ、歯が浮いたように感じることもありますが、歯の動揺はほとんどありません。
中等度歯周炎
さらに病状が進行すると、中等度歯周炎となります。
歯周ポケットはさらに深くなり、歯槽骨の吸収も顕著に進みます。歯茎の腫れや出血はより頻繁になり、膿が出ることもあり、口臭も強くなる傾向があります。また、歯がグラグラして食事がしづらくなるなど、日常生活にも支障が出始めます。
重度歯周炎
歯周病が末期に達すると重度歯周炎となります。
歯槽骨の大部分が破壊され、歯は大きくグラグラと動揺し、最終的には自然に抜け落ちることもあります。強い痛みや膿、口臭など、口腔内の不快な症状が顕著になり、この段階まで進行すると抜歯せざるを得ないケースも少なくありません。
糖尿病とは
糖尿病は、血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)が高い状態が慢性的に続く病気です。
私たちの体は、食事から得たブドウ糖をエネルギーとして利用しています。このブドウ糖を細胞に取り込む際に必要なのが、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンです。
糖尿病は、このインスリンが十分に分泌されなかったり、インスリンがうまく作用しなかったりすることで引き起こされます。
糖尿病の種類
糖尿病にはいくつかの種類がありますが、ここでは代表的なものをご紹介します。
1型糖尿病
1型糖尿病は、自己免疫反応によって膵臓のβ細胞が破壊され、インスリンがほとんど分泌されなくなるタイプの糖尿病です。発症は若年層に多く、突然症状が現れることが多いのが特徴です。インスリン注射による治療が不可欠となります。
2型糖尿病
糖尿病患者の約9割を占めるのが2型糖尿病です。遺伝的な要因に加え、過食、運動不足、肥満、ストレスといった生活習慣が大きく関与しています。インスリンの分泌量が不足したり、インスリンが効きにくくなったりすることで発症します。
生活習慣の改善や薬物療法、インスリン療法などが治療の柱となります。
そのほかの原因による糖尿病
遺伝子の異常やほかの病気、薬剤の使用などが原因で起こる糖尿病です。例えば、膵臓の病気(慢性膵炎など)や、ステロイド薬の長期使用などが挙げられます。
また、妊娠糖尿病は、妊娠中に初めて発見された、または発症した糖尿病に至るほどの糖代謝異常を指します。出産後には血糖値が正常に戻ることが多いですが、将来的に2型糖尿病を発症するリスクが高まることが知られています。
糖尿病の主な症状
糖尿病は、初期段階では自覚症状がほとんどないことが多いです。
しかし、血糖値が高い状態が長く続くと、さまざまな症状が現れる可能性があります。
たとえば、血液中のブドウ糖濃度が高まることで、体は水分を欲します。その結果、口の渇きを感じ多飲になり、それに伴い多尿になります。また、摂取したブドウ糖がうまく利用されず、体が脂肪や筋肉を分解してエネルギーを得ようとするため体重減少が見られることがあります。
さらに、エネルギー不足からだるさを感じやすくなったり、目のレンズの調節機能が損なわれて、視力低下・かすみ目の症状が現れたりすることがあります。
糖尿病の合併症
糖尿病が怖いのは、全身の血管や神経を障害し、さまざまな合併症を引き起こす可能性がある点です。
例えば、糖尿病網膜症は、目の網膜の血管が障害され、視力低下や失明に至ることもあります。また、糖尿病腎症は、腎臓の働きが悪くなり、最終的には人工透析が必要となることがあります。
さらに、糖尿病神経障害が起きると、手足のしびれや痛み、感覚の麻痺などが起こり、重症化すると足の壊疽(えそ)につながることもあります。
そのほかにも、心筋梗塞や脳梗塞といった動脈硬化性疾患のリスクを高めたり、感染症にかかりやすくなったりと、全身に悪影響を及ぼします。早期の診断と適切な治療、そして良好な血糖コントロールが、これらの合併症を防ぐうえで極めて重要です。
歯周病と糖尿病の深い関係
ここでは、両者がどのように関連し、互いに悪影響を及ぼすのかを具体的に解説します。
歯周病が糖尿病に与える影響
歯周病による慢性的な炎症は、体内に炎症性物質(サイトカイン)を常に放出させる状態を作ります。これがインスリンの働きを妨げ、血糖値をコントロールしにくくするのです。
実際に、重度の歯周病患者では、軽度の人に比べて糖尿病が悪化しやすいという研究結果もあります。また、歯周病の治療によって血糖値が改善されたという報告もあり、口腔の健康管理が糖尿病の治療の一部であると認識されつつあります。
糖尿病が歯周病に与える影響
糖尿病が進行すると免疫力が低下し、細菌に対する抵抗力が落ちるため、歯周病が悪化しやすくなります。高血糖状態は唾液の質や量にも影響し、細菌が繁殖しやすい環境になります。
さらに、傷の治癒力が落ちているため、歯茎にできた小さな傷や炎症が治りにくく、慢性化しやすいのです。つまり、糖尿病患者は歯周病の発症・進行リスクが高いということになります。
歯周病の治療法
歯周病が発見された場合には、適切な治療を早期に行うことが大切です。
スケーリング・ルートプレーニング
初期から中等度の歯周病には、スケーリングやルートプレーニングといった治療が有効です。歯ブラシでは取り除くことが難しい歯の表面や歯周ポケットの内部に付着したプラークや歯石を専用の器具で取り除き、歯茎の炎症を改善します。
歯周外科治療
歯周病が進行している場合、基本的な清掃だけでは治癒が難しいため、歯周外科治療が行われることもあります。歯茎を開き、奥深くにある歯石や感染組織を除去するフラップ手術や、骨の再生を促す再生療法(GTRやエムドゲインなど)も適応されることがあります。
歯周病の予防法
歯周病の予防は、糖尿病の進行を防ぐ意味でも非常に重要です。
歯周病予防の基本は、歯磨きを中心としたセルフケアです。特に歯と歯茎の境目を意識してブラッシングを行い、プラークを取り除くことが大切です。歯間ブラシやデンタルフロスを併用することで、歯ブラシが届きにくい細かい部分に付着した汚れを除去することができます。
糖尿病をお持ちの方は、セルフケアの質を高めることが大切です。また、定期的な歯科検診とプロによるクリーニングも欠かせません。歯周ポケットの深さや炎症の有無を定期的にチェックすることで、歯周病の早期発見と早期治療につながります。
さらに、糖尿病の患者さんは歯科医院と内科との連携も重要で、情報共有によってより的確な全身管理が可能になります。
まとめ
歯周病と糖尿病は、それぞれが独立した病気に見えますが、実はお互いに深く影響し合いながら悪循環を生む関係にあります。糖尿病の管理が不十分だと歯周病が進行しやすくなり、逆に歯周病があることで血糖値のコントロールが難しくなるというサイクルが起こるのです。
このような悪循環を断ち切るためには、早期の歯周病治療と継続的な予防ケア、そして糖尿病の適切な管理が欠かせません。歯科と医科の連携を活かして、全身の健康を守っていきましょう。
歯周病にお悩みの方は、東京都世田谷区経堂にある、きたむら歯科経堂にお気軽にご相談ください。
当院は、予防治療に力を入れています。虫歯の原因を根本から改善し、口内を健康に保ちます。マウスピース矯正や審美歯科も実施しているので、ぜひ一度ホームページをご覧ください。Web予約もお受けしています。
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